さて、この世界には野良精霊というものが存在する。
ゲーム上では雑魚敵として亜鉛 の サプリ冒険の途中でエンカウントする相手であり、その発生理由については語らクロムの効能れないが、こいつらは実は人間が生み出した存在であったりする。
精霊というのは人と共に生まれる。
これはこの世界の常識である。
ではなぜ野良精霊という人と繋がっていない精霊が存在するのかというと、彼らは元々人と共にゴーヤあったのが様々な理由でその接続が切れてしまった存在である。
もちろん、人と精霊の繋がりというのはそんなに簡単に途切れるものではない。
事故なども稀にあるが、そのほとんどは人為的な行為により切断される。
一番多い理由はより強い精霊と接続するために自身の精霊を捨てて他人の守護精霊を奪うというもので、捨てられた精霊同士が自然交配し繁殖したのが野良精霊達だ。亜鉛 の サプリそのためその多くはとても弱く、大した力は持たない。
しかし稀に突然変異でとても強い個体が生まれることがあり、それはボス精霊と呼ばれるのだが、そのボス精霊を自身の守護精霊とするために元々共に生まれた精霊を捨てる者も現れるという悪循環が起こっていた。
国も教会も守護精霊を交換することや野に捨てる行為は禁じているが、取り締まりきれていないのが現状である。
そしてもう一つ、彼ら野良精霊が雑魚である理由があった。
「ああ、いたいた」
ミモザは草むらをかき分けながら森の中を歩いていた。視線の先にはうさぎにツノが生えた姿の野良精霊がいる。
ひたすら生暖かい目で微笑む母親ゴーヤに昼食をふるまった後、仕事に戻る母を見送ってからミモザは森へと来ていた。
ミモザ達の住むバーベナ村は森に四方を囲まれている利便性の悪いど田舎だ。そのため少し歩けばすぐに森へと辿り着く。
森には大雑把に目印の杭が打ち込まれており、通常10歳前後の学校を卒業していない子どもはその杭よりも先に入ることを禁じられている。しかし今のミモザはその杭を通り越して森の奥深くへと足を踏み入れていた。
当然、バレたら叱られる。
しかし今は大人に叱られること以上に気にしなければいけないことがあった。
「ゲームの開始は学校を卒業する15歳からだ」
じっと草葉の影から草をはむ野良精霊の姿を見ながらミモザはチロへと話しかける。
「つまりそれまでに僕達はお姉ちゃんより強くなっている必要がある。それも大幅に、だ」
「チィー」
チロもその方針には賛成dhaのようだ。その同意に満足げにミモザは頷く。
「じゃあどうやって強くなるか。手っ取り早いのはもちろん、実際に戦ってレベルを上げることだ」
とはいえ、ミモザもチロも野良精霊との戦闘などしたことがない。一応学校では戦闘技術の授業があったが、ミモザの成績は底辺を這っている始末であった。
(つまり、ここは不意打ちに限る)
卑怯だなどと言うなかれ。これは命のかかったことなのである。
ミモザはチロへと右手を伸ばした。チロは心得たように頷く。
それと同時にその姿が歪み、形を変えた。
それは武器だった。細く長い金属の持ち手に先の方に棘が何本も突き出た鉄球が付いている。いわゆるモーニングスターメイスと呼ばれる棍棒である。槌矛と呼ばれることもある叩き潰すことに特化した打撃武器だ。
これが守護精霊と野良精霊の一番の違い。
人と繋がっている精霊はその姿を武器へと変じることができるのだ。これは昔は出来なかったのが徐々に人が望む姿に適応するようになり、そのような変化ができるように進化していったのだと言われ亜鉛 サプリている。
(やっぱり棘が生えている)
チロの変化した姿を見てミモザは眉を顰めた。
ゲームでのチロは序盤はただのメイスである。つまり棘の生えていない鉄球が先端に付いているだけのただの巨大な槌だ。しかしゲームの半ば頃より狂化が始まり今のような棘の無数に生えたモーニングスターメイスへと姿を変えるのだ。
つまりやはりゲームよりも早く狂化してしまっているのだ。
一度狂化してしまった者は進行することはあれど正常に戻ることはない、と言われている。
(うーん、まぁいいか)
本当はそんなに軽く済ませていい問題ではなく狂化した個体は取り締まりの対象なのだが、ミモザの場合は早いか遅いかの違いで正直狂化しない選択肢を選べる気がしなかった以上諦めるしかない。
一応ゲーム上では侮られ過ぎてなのか何故なのか、ミモザの狂化は主人公達以外にはバレてなかったように思う。
チロも小さい精霊のため普段はなるべくポケットなどに隠しておけばなんとかなるだろう。
さて、とミモザは野良精霊を見る。先ほどまで横を向いていた野良精霊は、少し移動してちょうどこちらに背中を向けていた。
(君に恨みはないがごめんよ)
ミモザはチロを両手に持って大きく振りクロムの効能かぶると、
「僕たちの礎となってくれ」
野良精霊へと向けて一気に振り下ろした。
血飛沫が舞った。
。dha epaクロム亜鉛 サプリ
作者: 運動教練 張跑步
しかし突き飛ばポリ ペプチド
しかし突き飛ばされた場所が悪かった。彼は起きあがろうとして地面に手をつきポリ ペプチド、その手が地面に飲み込まれた。
「………っ!?」
草に隠れてよく見えなサプリメント マカいが、そこは沼であった。この第4の塔はところどころにわかりにくい沼が広がっており、歩ける地面はちゃんと目で見ればわかるようにはなっているものの、よく注意していないと足を踏み外してしまう危険ゴーヤ チャンプルーがある。野良精霊に襲われたり、転んだら最後、底なし沼から自力で這い出るのは困難である。
「捕まって!」
ステラとマシューは駆け寄るとその手を掴んで引っ張り上げた。ずるり、と泥まみれの男の子が沼から引きずり出される。
「大丈夫か?」
マシューが尋ねると堰を切ったように少年は大声を出して泣き出した。そのままぐずぐずと話し始める。
いわく、今のは学校のクラスメイトであること、
いわく、い亜鉛 サプリじめられていること
いわく、無理矢理連れてこられて突き飛ばされたこと
「……ひどい」
ステラは表情を曇らせる。
「下手をしたら生死に関わるな」
マシューも難しい顔でつぶやいた。
ここは第4の塔である。野良精霊も出現する塔だ。
「……教会騎士の管理はどうなっているのかしら。こんな子を中に通すだなんて、万が一があったら……。いじめも見抜けないだなんてやっぱり管理方法はもっと厳重にするべきだわ」
ステラは憤然と言った。それにマシューは困ったように眉をさげる。
「いじめかどうかの判断は難しいよ。本人達が違うと言ったら、資格を満たしてマカいた場合は塔に受け入れざるを得ない」
「でも塔は危険な場所なのよ? ここがあるせいでただのいじめが殺人になってしまうかも知れない! ちゃんと抗議しなきゃ!」
「ちょ、ちょっと!」
そのまま出入り口を管理する騎士に突撃しようとするステラをマシューは慌てて腕を掴んで止めた。
「まずは男の子に怪我がないか確認させてくれ!」
そう言ってマシューは男の子の全身を確認すると、小さな擦り傷を見つけてそこに手を当てた。
柔らかい光がじんわりと灯って傷が早送りのように綺麗に塞がる。
「大丈夫かい? 他に怪我は?」
「だ、だいじょうぶ……」
「そうか、大変だったな」
なんとか泣き止んだ泥まみれの少年をよしよしと自身が汚れるのも厭わずにマシューは撫でる。少年の目はその優しさに再びうるみ始める。
「あ、あー…、うちには帰れそうdhaか? 送っていくか?」
「ひぐっ、か、帰れるぅ」
「じゃあ入り口まで一緒に行こうか」
3人で時々少年の泥を落としてやりつつ出入り口へと近づくと、入場管理をしている騎士の中で若い騎士がその様子に気づいて走り寄ってきた。
「どうされました? 救助は必要ですか?」
「もう怪我は治したから問題ないよ、でも事件として報告をあげてもらいたい」
事件、の言葉に彼は息を呑む。
試練の塔の内部では原則利用者同士の揉め事は御法度である。事件というのは野良精霊や試練による負傷以外の人為的な被害を意味していた。
マシューが詳しく報告をしようと口を開くと「そうなの!」と元気よくステラが先に言葉を放った。
「この子、学校のクラスメイトにいじめでここに連れてこられて沼に突き飛ばされたのよ! 今回はたまたまわたし達が見ていたから良かったけど、そうじゃなければ今ごろ命に関わってたかも知れない! どうしてこの子達のことを中へ通したの? 怪しいとは思わなかったポリ ペプチド?」
「どうしてって……、その、明確な理由がないと拒むことはできませんので……」
若い騎士は戸惑うように言葉を濁す。それにステラはむっと眉を寄せた。
「貴方達は問題意識が低いわ。塔の管理が甘いせいでただのいじめが殺人事件になるところだったのよ。危険な塔の管理を任されているんだから、それなりの……」
「ステラ!」
マシューが鋭く遮る。それに騎士はほっと息をついた。
「どうしたの? マシュー」
ステラはそれに訝しげに返す。マシューは呆れたように首を横に振った。
「どうしたのじゃないよ、彼を責めるのは筋違いだ」
その言葉にきょとんとして、少し考えた後にステラは頷いた。
「そうね、教会の管理体制の問題だもの。もっと上の立場の人に言うことよね」
「それはそうだけどそうじゃないよ」
ふぅ、とマシューは疲れたようにため息をつく。
「例えばの話だけどさ、今回はいじめに塔が使われたけど、彼らがこの子を川に放り込むことだってあり得たとは思わないかい? 誰にでも近づくことのできる川の管理が甘いとその地域の役所を責めるのはちょっと無理があるだろう? 今回のもそれと同じだよ。悪いのはいじめ亜鉛 サプリというイレギュラーな行動をする連中で教会騎士にすべての問題の検出は不可能だ。そりゃあ
川に柵を立てたりはできるだろうけどそういう奴らは柵を乗り越えて同じことをするだろう。今回のは事故じゃなくて事件だからね。報告して改善策は練った方がいいだろうけどそんなに喧嘩腰で言うようなことじゃない」
「……っ、でも!」
「君が今回の件を真剣に考えてくれているのはわかるよ」
マシューはなだめるように笑いかける。
「けど一つのことにこだわり過ぎて他の人の都合に盲目になるのはよくない。……まぁ、俺が言えたことじゃないんだけど」
「……ミモザみたいなことを言うのね」
ステラの言葉に彼は「うっ」とうめいて胸を押さえた。
「ま、まぁ、受け売りなのは否定しないよ。あんな残酷に人のメンタルをえぐる奴にあんまり感謝はしたくないけど、まぁ、いっぺん精神的にぶん殴られたおかげで視野は広がったよね……」
ああ、あの時の騎士団の人間はこういう気持ちだったのかなぁ、とマシューはうつろな目でステラにはよくわからないことをぶつぶつとつぶやく。
「どうして……」
ステラはそんな彼を呆然と見つめた。頭の中で『何か』がおかしいと騒ぐ。
おかしい。村ではみんなステラに同意してくれたのに。おかしい。ミモザの言うことばかり優先されるなんて。おかしい。アベルがステラのことを否定するなdha epa dhaんて。おかしい。マシューがステラの言葉を受け入れないなんて。
おかしい。
(前はこう言えば喜んでくれたじゃない)
そこまで考えてステラははっと我にかえる。
(『前』ってなに?)
頭がずきずきと痛む。マシューとはこれが初対面のはずだ。
「ステラ?」
頭を押さえて黙り込むステラに、マシューは不審げに声をかけた。
「頭が痛むのか? どこかにぶつけた?」
「……いいえ、なんでもないの」
ステラはにっこりと笑う。本当はなんでもなくなんてない。ステラは傷ついている。マシューが裏切ったからだ。
(裏切るってなに?)
「ちょっとめまいがしただけなの。この後に用事があったのを思い出したわ。あとは任せてもいいかしら?」
「え? あ、ああ、大丈夫だよ。お大事に」
ステラは少年とマシューに微笑みかけ、ついでに若い騎士を見た。彼はその視線に嫌そうに身をすくめる。
(わたしが悪いみたいな顔をしないでよ)
不愉快な気持ちがステラの中で渦巻く。けれどそれ以上は何も言わずに立ち去ることをステラは選択した。
これ以上今のマシューと言葉を交わしたくはなかった。
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髪の毛をわアントシアニン
髪の毛をわし掴まれた。
「dha epa dha……いっ!」
声をあげるが止まればどんな目に遭うかわかか亜鉛らない。ぶちぶちと引き抜かれる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
ちょうど踏み出した足に投げられた石がアントシアニンあたり、ミモザは転んでしまった。手に持っていたランチボックスが地面に転がる。
ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身構えており、やることをあらかじめ決ゴーヤ チャンプルーめていたからなんとかなったが、ふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと捕まえたぞ」
びくりと身を震わせる。振り返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
ミモザのせいではない。自業自得だゴーヤ チャンプルーと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかりで声が出ない。
学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かなくしていた。
そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投げつけられる。
ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
いつだってそうだった。いままでずっと。
閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て…マカ と は…っ)
気づいて欲しい。ミモザの存在に。
涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつった。
守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければいけない。だってあの人が待っている。
ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空かせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
異母兄の名前にアベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
前方に見える、家の窓へと向かって。
ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
。ゴーヤdha epa dhaアントシアニンの効果
それはチャイ亜鉛 サプリ おすすめ
それはチャイdhaムが鳴って1時間目の授業が終わった時のことだった。次の授業の準備クロムのための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のドアが開いた。
開けたのはミモザである。
ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がかかり、憂鬱そうに伏せられた瞳亜鉛 サプリ おすすめは冬の湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。雪のように真っ白な肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のような格好をしていた。その容姿と服装の奇妙なアンバクロムの効能ランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気を与えていた。
(戻ってきたのか)
アベルは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
ち、と軽く舌打亜鉛 の サプリちをする。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化すとそれを信じたようだった。
ステラ。あの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなことを言う。
出来ないから頼んでいるというのにだ亜鉛 の サプリ。
ステラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
その怯えた態度に自尊心が満たされる。
自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんだ?」
にやにやと笑って問いかけるとミモザは怯えたようにこちらを見て、しかしすぐに無言のまま視線をクロムの効能逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
無視だ。
その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げる。
彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
担任の教師もだ。
まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
ふん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
ミモザが顔をしかめる。その様子に気をdhaよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめぇ!調子に乗りやがって!!」
強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶちぶちと音をたdha epaてて引きちぎられる。
言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものだ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
そろそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
だ、と言いきる時間はなかった。
そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
そのまま大声で叫ぶ。
ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
すぐに彼の怒号が響いた。
。サプリメント マカクロムの効能亜鉛 の サプリサプリメント マカ
第3の塔は高い亜鉛 サプリ
第3の塔は高い岩壁に囲まれるようにしてぽつ亜鉛 の サプリんと立っていた。それゆえに岩山を登るか洞窟を通るしか辿り着くdha epa dha手段がないのだ。周囲にはごつごつとした岩が転がっている以外は特に何もない。第3の塔は薄汚れた灰色をしていて周囲と色合いが同化してしまっていた。他の塔もそうだったがとても中にサプリメント マカ広大な空間が広がっているとは思えないようなちゃちな外観だ。そしてその塔のたもとには入場手続きを待つ人々が列をなしており、何故かそこから少し外れた位置にステラとアベル、そして見知らぬ少女が立っていた。
「あ、あれ、ミモザさんのお姉さんですよね」
「しっ!」
ぽけっと指差すジーンを手で制して近くにあった岩の影へと隠れる。
「何してるんですか?」
「いいですかクロム、ジーン様。ジーン様はご存じないと思いますが僕と姉は不仲なのです。そして先日とうとう決別宣言を致しました」
「決別宣言……」
「僕が一方的に」
「一方的にって……」
ジーンは呆れたように嘆息する。
「何があったかわかりませんが、兄弟喧嘩はほどほどで仲直りしておいたほうがいいですよ。今後も顔を合わせる機会があるんですから」
「兄弟喧嘩だけならそのご意見は一考の余地があるんですけどね」
これまでの色々な事情をジーンに説明する気はミモザにはない。面倒臭いからであるアントシアニン。
「まぁ、放っておいてください。あ、もし塔に行かれるのでしたら僕の存在は伏せてくださいね。僕は顔を合わせないようにここで少し待ってから行きますんで」
「はぁ……」
「お願いします!!」
その時、何かを言いかけたジーンの声を、少女の声が遮った。見ると何やら彼女はステラとアベルに頭を下げている。淡い赤毛をおさげにした可愛らしい少女はその目に涙を浮かべていた。
「……なんでしょう」
「さぁ?」
ミモザとジーンはその光景に首をひねる。見守っているとステラは周囲の人々の迷惑にならないように慮ったのか、少女を手招くとなんとミモザ達の方へと移動してきた。
「うえっ」
「ちょっと!」
思わず慌ててジーンの手を引くと一際大きな岩の裏へと引っ張り込んだ。ジーンは非難の声を上げたが知ったことではなdhaい。
(あぶねぇ)
どきどきと動揺する心臓をなんとか落ち着かせていると、よりにもよってステラ達はミモザ達の隠れている岩の前で足を止めた。
「ここなら大丈夫ね」
もう一度入場手続きをしている人々を見てステラは言う。それに一体なんの話だと疑問に思いながらミモザは聞き耳を立てた。
「それで、どういうことなの?お願いっていうのは?」
「お姉さん達、これからあの塔に入るんでしょ?」
意を決したように少女は話し出す。小さな拳をギュッと握り、その肩には緊張したように力が入っていた。
「薬草を、取ってきて欲しいの」
「どうして?」
不穏な会話だ。ミモザは眉をひそめた。しかし会話はミモザの心境など無視して進む。
「お母さんが……、病気なの。その病気を治せる薬がここにしか生えてないって……」
「お薬を買うお金がないの?」
彼女は勢いよく首を横に振る。
「あるよ!でも……」
確かに言葉の通り、少女の着る服の生地はしっかりとしていて上等な物のよう亜鉛 の サプリに見えた。薬代が払えないほど困窮しているようには見えない。彼女は唇を噛み締める。
「お薬がないの。数がとても少ないんだって。だからずっと順番待ちで……。お医者様はすぐに容態が悪くなることはないから大丈夫だって言うけど……っ」
そこでぐすっ、と少女は鼻を鳴らした。ミモザからは角度的によく見えないが、泣いているようだ。
ステラは少女を安心させるように微笑むと、地面に膝をついて目線を合わせ、彼女の背中を優しく撫でた。
「そうなの。それでここまで来たのね。頑張ったわね」
泣きながら少女はうんうんと頷く。
「頑張ったのっ、ここに来るために第2の塔にも行って……っ」
そう言って少女が見せた右手の甲には銀の花弁がついていた。
「………」
ミモザは思わず遠くを見つめる。あんないたいけな女の子が銀の祝福を持ってるというのに、みっちりと3年修練を積んだはずのミモザはといえば……、
「あっ、だめだ。心が折れそう」
ブロークンハートである。
「まぁ、祝福のランクが全てじゃありませんから」と右手の甲が銀色の花弁できらきらしているジーンが慰めるようにアントシアニン言った。
思わずその額をデコピンする。
ジーンが無言で悶絶するのにちょっと溜飲を下げて、ミモザは改めてステラ達の様子を伺った。
(まさか、引き受けたりしないだろうな……)
しかしそのまさかは起こった。
「わかったわ」
ステラは頷いた。
「本当!?」
少女は顔を輝かせる。それにステラは微笑むと、目を合わせてしっかりと頷いた。
「大丈夫よ、お姉さん達が薬草を取ってきてあげるからね」
「あ、ありがとう!!」
少女は感激したようにステラの手を握る。
(うええ……)
頭がくらくらする。ミモザは思わず後ずさってしまった。
じゃりっ。
一歩足を引いただけなのにその音は嫌に大きく響いた。
「誰だ?」
アベルが不審そうに誰何する。彼は警戒するように守護精霊を剣へと変えて、こちらへ向けた。
ちっ、と小さく舌打ちをする。本当なら見て見ぬふりをして逃げてしまいたかったが塔に行くにも帰るにも、姿を見せずに移動するということは困難だ。何より下手な行動をしてアベルに不審者と間違われて攻撃を受けるのはごめんだった。
「僕だよ」
声をかけて両手を降参するように上げるとミモザは岩影から姿を現した。
。サプリメント マカクロムの効能亜鉛 の サプリゴーヤ
「省エネだな」ゴーヤ チャンプルー
「省エネだ亜鉛な」
訓練の途中、レオポリ ペプチドンハルトはそうつぶやいた。
「え?」
「君の戦い方のことだ」
おそらく休憩に入るつもりなのだろう。構えていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃を形にして飛アントシアニンの効果ばすのに対し、君は触れたものに衝撃波を叩き込むスタイルだろう」
それを見てミモザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映る感情は、感心だ。
ゴーヤ「無から有を生み出すのと、すでにあるものを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「……うっ」
図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらず、MP亜鉛 サプリ おすすめ量を見てもいつまでもゆとりがある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端に少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
そこで悪巧みをするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらないように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」
「おかしい、なぜだ」
ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
というより、それ以外得意なものがない。
ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
ミモザが唯一目覚めた属性攻撃、それは『毒』だった。
しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治ってしまう。
(でも充分だ)
長期戦で相手を疲労させdhaて戦うスタイルのミモザにとって、わずかでも弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練で切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
ここで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
その時ロランの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待たせポリ ペプチドたな、ミモザ。状況は?」
そこには英雄の姿があった。
豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子はなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
視界が真っ白に染まった。
。アントシアニン亜鉛の効果亜鉛 の サプリ
ガチャン、とい亜鉛 の サプリ
ガチャン、とい亜鉛の効果う音を立ててその扉は閉まった。
「あdha epa、あなたが悪いんだからね!」
捨て台詞と同時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひ亜鉛 サプリ おすすめねった。
まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思うクロムの効能。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
チロも同意するように頷く。あまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」サプリメント マカ
人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っているゴーヤ可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
さて気を取り直して、とミモザは窓枠に手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
ミモザはその姿にうっ、とうめく。
彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、亜鉛 サプリ今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ……?)
パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
探し人がレオンハルトクロムの効能ならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。
「フラフラついて行くなと言っただろうが」
ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんでdhaす」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
。dha epa dhaゴーヤマカ と は亜鉛の効果
「…………」 恥亜鉛の効果
「…………」
恥ずかしくて顔を上げられない。ミモザは真っ赤な顔をしマカ サプリて俯いていた。
「弟子……?」
レオ亜鉛 サプリ おすすめンハルトは怪訝そうだ。
(そりゃそうだ)
そりゃあそうだ、内心でうんうんと頷く。チロも武器形態のままだが冷たい視線を向けてきているのがわかる。
マカ「えーーっと、」
「……悪いがそういうのは募集していないんだ。すまないね」
にっこりと微笑んで頭を撫でられる。その視線は生温い。完全に子ども扱いされていた。
(いや、子どもなんだけど!)
子どもだが、そうじゃないのだ、真剣なのだ。
「そうじゃなくって、えっと、僕は真剣でっ」
「うんうんそうか。まぁ、憧れてくれるのは嬉しいよ。ありがとう」
それは完全に大人がわがまクロムまを言う子どもを優しく窘める図だ。
何かのお手本のようだ。
「ち、違います!!」
撫でてくる手を払いのけてミモザは叫ぶ。
「僕は!本気で!強くなりたいんです!!」
「一体何のために?」
急に至極冷静に突っ込まれてミモザは言葉に詰まった。
(何のために……?)
いや理由ははっきりしている。周りを見返すため、ひいては姉から聖騎士の座を奪うためだ。
しかしそうはっきりとレオンハルトに言うことははばかられた。
まさか「貴方の弟にいじめられていたから見返してやりたい」とか、「貴方の今いる地位に将来クロムの効能姉がなる予定だから奪ってやりたい」とは言うわけにはいかない。というかそんなことを言おうものなら下手をしたら殺される。
(殺される!?)
先ほど対峙していた時の恐怖が蘇ってきてびびる。もしかしなくともミモザはとんでもない人間を呼び止めてしまっていた。
そのまま素直に帰ってもらえばよかったのだ。機嫌のいい肉食獣に機嫌がいいからといってミモザのような草食動物が話しかけてはいけなかった。
「どうした?」
脂汗をだらだらと流したまま固まってしまったミモザを、腕を組んで見下ろしてレオンハルトは不思議そうだ。
それはレオンハルトからすれば親切心で言葉に詰まった子どもが話し出すのを待ってあげているだけの図だったが、ミモザには悪鬼が頭ポリ ペプチド上から威圧を放って見下ろしているようにしか思えなかった。
なんかオーラがずっとどす黒いままだし。
「あ、あの、理由……、理由、は……」
その時のミモザの脳内は珍しく高速で働いていた。なんとかして相手の怒りを買わない当たり障りのない理由を探そうと思考は回転し、反転し、そして脱線した。
これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る。泣いて抱きしめてくれる母親、机の中のゴミ、力を得るための儀式、髪を切られたこと、そして姉がこれから得るはずの栄光の記憶ーー、
聖騎士レオンハルトが姉達をかばって死ぬ光景。
「……貴方を、助けたいからです!」
教訓、慣れないことはするなかれ。
普段思考のとろい人間が無理して急いで結論を出そうとすると大事故が起きる。
「……ほぅ?」
レオンハルトの目が剣呑に細められるのをミモザは涙目で見守った。
「俺の記憶が確かなら、俺はこの国最強の精霊騎士のつもりだったのだが……、その俺を君が助けてくれると?何から?」
そう言う顔は綺麗に笑っているがdha epa瞳は雄弁だ。
なめてんのかこのクソガキ、そう告げていた。
「ち、違います!そういう意味じゃなくて!そのですね!」
ぐるぐると元々空転気味だった思考回路がさらに空転し出す。
「す、好きなんです!貴方のことが!!」
「は?」
「だから貴方のことをお助けしたいんです!!」
「………」
(何言ってるんだ、僕……っ!)
黙り込むレオンハルトに、またそりゃそうだと内心でミモザは頷く。
だってミモザだって自分が何を言っているのかわからない。
支離滅裂なことを叫ぶミモザに、しかしレオンハルトは冷静に「つまり、俺に好意があるから手伝いをしたいという意味の『助けたい』ということか?」と内容を推測して要約してくれた。
彼は確かに大人なのだろう。
ミモザの記憶ではレオンハルトはミモザ達のたった5歳年上なだけの、つまり現在17歳であるはずなのだが、その精神年齢は実年齢よりも遥かに大人びているように思えた。
そのレオンハルトの要約が合っているのかどうかは横に置いて、困っているミモザは「そ、そうです!」と全力でその推測に乗っかることにした。
だって貴方3年後に死ぬ予定なんですなんて言えないし。
彼はそのミモザの返答に心底アントシアニン不思議そうに首を傾げる。
「君とは今日初めて会ったばかりだったと思ったが?」
「あ、会ったばかりですけど!」
そこでミモザはやっと一拍呼吸を置いた。自身を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。
この質問に対しては、嘘や誤魔化しは必要なかった。
ゆっくりとレオンハルトの左右違う色の目に視線を合わせると、力が抜けたように微笑んだ。
「貴方は僕のことを唯一認めてくださいました。才能があると言ってくれた」
「それだけのことで?」
「それだけのことが、喉から手が出るくらい欲しかったのです」
そう、たったそれだけのことだ。しかしたったそれだけのことがミモザを奮い立たせ、立ち上がる気にさせた。
数日前も。そして今も。
「それだけでこれから先、僕は生きていけます。好意を抱くのには充分過ぎるほどです」
これまでとは一転して自信を持ってそう告げるミモザに思うところがあったのだろう。レオンハルトはわずかに考え込んだ。
「俺は人に教えるのに向かない人間だ。最悪ただ君を叩きのめすだけの指導になってしまうかも知れないぞ」
「かまいません。貴方のサンドバッグにでも雑巾にでもしてください。そこから勝手に僕が学びます。貴方は僕の人生の恩人です。恩は返します。必ずお役に立って見せます」
だから、
「貴方のそばに置いてください」
そらされない目線の強さと意志に、レオンハルトはアントシアニンどこか眩しげに目を細めた。
「……いいだろう。しかし俺は忙しい。基本的には課題を出して時々様子を観にくる程度になるだろう」
「充分です!」
「ではこれを」
レオンハルトは懐からメモ帳とペンを取り出すと何事かを書き込んでそれをミモザに渡した。
ミモザはどきどきと胸を高鳴らせてその紙を開く。
ここに、精霊騎士として強くなるための極意が書かれている。
かくしてその中身はーー、筋トレのメニューだった。
「……えっと」
「まずは体を鍛えなさい。話はそこからだ」
告げられる言葉は淡々としており、重々しい。
「はい」
ミモザはとりあえずわからないながらも頷いた。長いものには巻かれるタイプの人間だからである。
「いい返事だ」
レオンハルトは満足そうに頷いた。
。ゴーヤアントシアニンの効果ポリ ペプチド
レオンハルト亜鉛
レオンハルトとの出会いから3ヶ月後、ミサプリメント マカモザは、
「ふんdhaふんふんふん!」
腕立て伏せ100回も軽くこなせる細マッチョへと華麗なる変身を遂げていた。
「ふんふんふんふん!」
腹筋もなんのそのである。お腹にはうっすらと線が入り夢のシックスパックである。
「ふんふんふんふんふん!マカ と は」
ダンベルなんて高価なものはないので森から調達した岩を上げ下げする。最初は手のひらサイズの岩でぜいぜいと息を切らせていたが、今は自分の上半身くらいの大きさの岩も軽々とはいかないが持ち上げることができる。
「ふんふんふんふんふんふん!」
ランニングもなんのそのだ。村の外周10周くらいは朝飯前だ。
「ふんーっ!!」
ブシャァアア!
ミモザはりんごを両手で握マカ と はり、気合を入れて握りつぶした。コップの中へとばらばらと落ちていくのを見守り、コップを掴むとそのまま豪快に天然100%りんごジュースをごくごくと飲み干す。
「ぷはぁっ!最高の気分だ!」
実に清々しい。
筋肉を身につけてからのミモザは内面が明るくなるのを感じていた。自信がついたのだ。
「力こそパワー!筋肉は裏切らない!!」
きゃっきゃっとはしゃぎながらミモザは森へと繰り出した。
ちなみにこの3ヶ月間、レオンハルトの来訪は一度もない。
どうしてこうなったのだろう。
だらだらと脂汗を垂らしながら、数時間前の浮かれていた自分のことをミモザは嘆いた。
ミモザの目の前には今、
「ウルルルルゥ!」
低い唸り声を上げ、両腕を挙げて威嚇する熊型の野良精霊がいた。
途中まではいつも通り順調だったのだ。
森の浅瀬でここ最近ですっかり慣れ親しんだうさぎ型の野良精霊と戯れ、一月前あたりから攻略を開始した森の半ば周辺で犬型の野良精霊を狩る。
12匹ほど狩り、のんびりと魔導石の採取をしていたところで異変は訪れた。
まだミモザが足を踏み入れたことのない森の奥の方から大量の野良精霊が現れたのである。
「は?」
驚きつつも身構サプリメント マカえるミモザのことを、しかし彼らは無視して通り過ぎていった。
まさに台風一過、土埃を巻き上げて彼らは去って行った。
「一体なんだったんだ?」
その勢いに気押され走り去る姿をすっかり見送ってから、ミモザは呑気に彼らが走って来た方角を振り返りーー、
そこに3つの紅い目を光らせどす黒いオーラを身にまとい、仁王立ちをしている巨大な熊の野良精霊の姿を見た。
「………え?」
そして今、話は先ほどの場面へと戻る。
突然現れた大物に、ミモザはメイス姿のチロを握りしめて立ち尽くしているのであった。
(というかこいつ、ゲームのイベントで登場する中ボスでは?)
その明らかに狂化個体である熊を見て思う。確かステラ達が最初の試練の塔に向かう途中に現れる序盤の中ボスだ。
さて、ステラ達は一体どうやって倒していたんだったかと考えている間に、
「グアアラァ!!」
その熊の野良精霊は挙げていた両腕をミモザに向かって振り亜鉛下ろしてきた。
「………っ!」
慌てて後ろに飛び退き避ける。
「このっ!」
ちょうどミモザが避けたせいで熊は両腕を地面につくような姿勢になり隙ができた。それを見逃さずミモザはメイスを横殴りにその顔面へと叩きつける。
「……っ!?かったい!」
しかしそれは骨に当たる鈍い音を立てただけで終わった。熊の頭は確かに殴ったはずなのに向きを変えることもなく、紅い目がぎょろりと動いてミモザを睨む。
そのまま頭を一瞬低く下げると下からすくい上げるようにしてミモザのことを頭突きでメイスごと吹っ飛ばした。
身体が宙に浮く。熊は飛んだミモザがどこに落ちるのか確認するようにこちらを眺めていた。
このままでは川から跳ね上げられた魚のように美味しくいただかれてしまう。
「このやろう」
ミモザは悪態をつくとメイスを振りかぶり棘を伸ばして少し離れた木へと刺す。そのまま棘を縮めると刺さった木に吸い寄せられるようにして枝の上へと着地した。
「ウルルルルルルルッ」
大人しく落ちて来なかったことに怒ったのか、唸りながら熊はミモザの着地した木の幹へと突進した。何度も頭をポリ ペプチド打ちつけてくるたびに幹は悲鳴を上げ折れるのも時間の問題だろう。
(うへぇ、どうしようかな)
とうとうバキィと小気味良い音を立てて木は真っ二つに折れた。
熊はこちらを目掛け大きな口を開けて歓喜の咆哮を上げる。
ミモザはというとメイスを足場にするように自身の身体より下へと向けるとそのまま棘を伸ばし、落下速度と全体重をかけてその棘を熊の口の中へと突き刺した。
さすがに口腔内はそこまでの強度がなかったらしい。熊は直立したような姿勢で串刺しとなり、しばし蠢いたのち絶命した。
「うわー、えぐー」
足元に広がる光景に自分でやっておきながらミモザはちょっと引いた。
地面へと飛び降りるとチロをメイスから鼠へと戻す。
「これ、やっぱりイベントの奴だよなぁ、なんだってこんなタイミングで。フライングなんてレベルじゃ……」
言いかけてハッとミモザはあることに気がついた。
(これ、倒して良かったのか?)
本来なら姉が3年後に倒すべき相手である。
(ストーリーになにか影響があったら……)
ミモザは元々のストーリーを頼りに対策を打っているのである。もしチロの狂化のように今回の件で何かが早まってしまうとそれだけでミモザの修行が間に合わなくなってしまアントシアニンう可能性がある。
「ど、どうし…」
よう、と言いかけて、ミモザの言葉は途切れた。
何故ならがさがさと草むらが不穏な音を立て始めたからである。
ミモザはその草むらの動向を見守った。
がさり、と一際大きな音を立てると何かがでてくる。
それは先ほど倒したのと同じ、紅い目が3つあるどす黒いオーラを放った熊だった。
全部で10匹くらい居た。
。ゴーヤ チャンプルーdha epa dha亜鉛 の サプリ
晴れて不登校児とゴーヤ
晴れて不登校児となったアントシアニンミモザの朝はーー遅い。
太陽がほぼdha epa頂点付近へと昇った昼頃にごそごそと起き出し、まずは姉がもう学校に行って家にいないことを確認することから一日が始まる。
不登校生活の恩恵はいじめがなくなったことだけではなく、生活サイクルクロムがずれたことにより姉と顔を合わす機会が減ったということももたらしてくれていた。
母も仕事に出かけており不在のため、一人でのんびりと遅い朝食をとる。母も忙しいためご飯の準備はしなくてもいいと伝えてあり、毎朝パンを軽くトースターで焼いて食べていた。
鼻歌を歌いながらパンをできる限り薄く切り、トースターにセットする。
「……?クロム」
スイッチを押しても動かないことに首を傾げトースターをためすがめす眺めていると、魔導石が黒くなっていることに気がついた。
「あー……」
うめきながらリビングへと戻り、棚から白い魔導石を取り出すとトースターの中の黒いものと交換する。問題なくトースターが動き始めたことを確認してからミモザは黒くなった魔導石を魔導石用のゴミ箱へと捨てた。
魔導石というのはこの世界における電池のようなもので、これによりすべての機械は動いている。色は透明なほど純度が高く、内に含むエネルギー量も一度に出力できゴーヤるエネルギー量も多いらしいが、まぁ一般家庭にある魔導石など白く濁ったものが普通である。エネルギーが切れると黒くなるため黒くなったら取り替え時だ。
(……電池?)
ふと疑問を覚える。それはこの世界にはない概念だ。
前世の記憶を思い出した時は色々と朧げでゲームのことしかわからないと思っていたが、どうやらエピソードが欠落しているだけで知識は覚えているようだ。無意識に変な言葉を口走らないように気をつけなければ、とミモザは脳内に注意事項としてメモをした。
そうこうしている間にチン、と軽い音と共に焼き上がったトーストを手にテーブルへと向かい、これまた薄くキイチゴのジャムを塗る。
ちなみにミモザ達に父はいない。いわゆる母子家庭である。ゲーム内では特に父親の存在に言及していなかったが、ミモザ達がまクロムの効能だ5歳くらいの時に亡くなったようだ。
そのためそこそこに貧乏な家庭である。それでも一般家庭とあまり変わらぬ水準で生活できている理由はここが田舎の村であり、食べ物は家庭菜園や森からの採取、近所の方からのおすそ分けで賄えているからだろう。
食事の後は庭に出て家庭菜園の手入れをする。草をむしり水をやるとそれぞれの野菜の育ち具合を見てうむうむと満足げに頷き、食べられそうなものでめぼしいものを収穫していく。きゅうりとキャベツが食べ頃だったため昼食用に採取する。
(今日はキャベツとベーコンのパスタときゅうりの和物だな)
ふー、と満足げに額の汗をぬぐう。汗がきらりと陽の光に反射した。
学校に通わなくなったミモザの生活は実に充実していた。
「チゥー」
胸ポケットに入っていたチロが不満そうに『最強の精霊騎士はどうした?』と聞いてきた。
それにミモザはサムズアップで応える。
「大丈夫!ばっちり考えてあるから!」
「チー……」
本当かなぁ亜鉛 サプリ、とチロは不信げにつぶやいた。
部屋の窓は閉め切られていた。暗い色のカーテンがしっかりと外からの光を遮断し、室内は真っ暗で淀んだ空気がただよっている。
中央には蝋燭が3本ほど据えられ、そこを中心として不思議な図形を組み合わせた陣のようなものが描かれた布が敷かれている。
のっそりと部屋の隅の暗闇から、シーツをまるでローブのように身にまとった人物が現れた。
ミモザだ。
その手にも燭台が一つ握られており彼女の動きに合わせてゆらりゆらりと光の波紋が部屋中に広がっていった。
普段は白い肌は蝋燭の灯りで橙色に染まり、ハニーブロンドの髪がきらきらと光を放つ。伏せられたまつ毛にもその光が反射し、神秘的な煌めきをその身に纏っていた。
彼女は陣の縁へとひざまずくと手に持った燭台をゆっくりと掲げる。
そのまま緩慢な動作でその手を左右へと振った。
「はぁーー、我に力をーー」
そのまま低く作った声で唱え始める。
「力をーー与えたまえーー」
ぶんぶんと上半身を左右に揺する。その姿はまるで深海で揺れるチンアナゴだ。
チロはもはや呆れて何も言わず背後からそんな相棒の姿を眺めるだけである。
止める人間のいないミモザはどんどんヒートアップしていく。
「はぁーマカー、我に力をーー…」
ぐるんぐるんと頭を揺らしながら調子に乗っていると、その時背後でかちゃり、と小さな音がした。
チロが振り返り目を見開く。
慌ててミモザへと駆け寄るとその足に齧り付いた。
「いたたたっ!もう何、チロ。今いいところ……」
言って振り返った先でーー、
真っ青な顔をしてドアの隙間からこちらを見ている母親の姿を見た。
真っ青な顔をしてミモザも固まる。
しばしその場に沈黙が落ちた。
先に動いたのは母、ミレイの方だった。彼女は手に持っていた荷物を取り落とすと両手で顔をおおった。
「ごめんね、ママ、ミモザは少しずつ元気になってきてると思ってたんだけどちょっと楽観的すぎたね」
「ち、違うよ、ママ!これはね!」
「無理しなくていいのよ、ミモザ。ママに相談しづらいようだったら他の人でも……、カウンセラーとかに行きたかったらママが探してあげるからね」
「違うんだって!これはおまじないなの!僕が強くなるためにね!お祈りをしてたの!」
「そう、おまじない……」
「そう!おまじない!」
二人はしばし無言で見つめ合った。
そしてミレイは何かを飲み込むように一つ頷くと、聖母のような微笑を浮かべた。
「そうなのね、ミモザ。それが貴方に必要なことならママは受け入れるわ」
なんだかすごく誤解されている気がする。
しかしそれ以上なにも弁明する言葉が思いつかず、ミモマカ サプリザは「ありがとう、ママ」と冷や汗をかきながら言うのが精一杯だった。
。dha epa dhaゴーヤ チャンプルー亜鉛 の サプリ